フクモリ
まあ、相も変わらず古いアルバムだ。
以前、まったく彼に対する知識もないままに、直感的に「たぶんスゴいひと」と思ってアルバムを買って以来、年に1度、何かしらのアルバムを購入している。
中島ノブユキ。ピアニストであり作曲家であり、思った以上にスゴいひと。
最初に買ったアルバムは「カンチェラーレ」。完全なるジャケ買いだが、なんとも「売れなそう」な雰囲気を醸し出している(失礼)。
それでも気に入ってしまったのだ、私は。
きっかけはこの時期の恒例、ホワイトデーに奧さまへのプレゼントのひとつとして購入した。これが始まりだった。ここから毎年、1枚ずつプレゼントしている。
世に出された順番とかは気にしていない。その時々で気になったアルバムを購入している。昨年は久々のピアノソロということで最新版を購入したが、これがまた、特に地味で暗いアルバムだったりもした。
そう、このひとの曲は基本的に暗い。そのなかでも極めつけだった。
で、そんなこともあって今年はもう少し明るいであろうアルバムを。
ゲストが多数参加している。彼がいかにスゴい方か、ゲストの顔ぶれを見ると分かる。
石井マサユキ、北村聡、鈴木正人、田村玄一、持田香織、森俊二…
そんなに友だち多くできそうな曲は書いてないように思うのだが(失礼)…。
とても繊細で、どこか孤独を感じさせるピアノだ。しかし、孤独を寂しいものとは感じていないような、穏やかさと充実を感じる。
不思議なピアノだ。
このアルバムを購入するまでに、何年もかかった。ずっとこのアルバムをライブ盤だと思っていたのだ。で、彼のピアノとライブという空間が、あまりイメージできなかった。
しかし違った。
このアルバムは、東神田にあるカフェ兼定食屋「フクモリ」の開店二周年を記念して作られたそうだ。中島氏は、ここで毎月ライブを行っているらしい。その過程で交流が生まれた面々とのコラボレーション、というのがこのアルバムだった。紛らわしい…。
カバー曲が多い。しかしアルバムを通して感じるのは、やはりこのアルバムが「中島ノブユキのアルバム」という印象。
そうとう暗いね、中島さん。
うん、キライじゃないよ。
けっきょくのところ、個人的に私が気に入っているのだ。プレゼントにかこつけて買っているが、毎年こうして買っているのは、この独特の暗さが好きだからに他ならない。
それにしても、開店二周年にしてこれだけの面子を集めた「フクモリ」というお店も気になる。すでに現在は10周年ぐらいになるだろうか。東神田ならそこまで遠くないし、そのうち遊びに行ってみたいと思う。