「いいねぇ」と呟きたくなる音色
この前、スタンダード曲の「Everything Happens To Me」をご紹介した際、Amazonで検索したアルバムを貼りつけておいた。
1枚は私も所有していたモノだったが、1枚は知らないアルバムだった。
ピアノとコルネットのデュオ。
とても気になった。
で、買ってみた。
- アーティスト: ラッセ・トゥーンクヴィスト&ヤン・ラングレン(cort/p)
- 出版社/メーカー: SPICE OF LIFE
- 発売日: 2010/10/20
- メディア: CD
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今回ご紹介はコチラのアルバム。
いやはや、久々の大当りだったのだ。
演奏も選曲もスバラシイのだが、なによりコルネットの音色がね、ホントうつくしい。
いわゆるオーディオマニアの方がいう「音がいい」というのとは違う。音色がいいのだ。
どういいのかっていうと、紅の豚のカーチス(マルコのライバルの飛行艇乗り)とかが、バーのカウンターに頬杖をつきながら思わず、「いいねぇ」ってつぶやいちまうような、そんな感じ。
分かりにくい…。
コルネットの音は、トランペットを少しやわらかくした感じをイメージしていただけると分かりやすいかもしれないが、場合によっては「軽く」聴こえてしまうことがある。
線が細いというか、弱すぎる感じ。
しかし今回の演奏者、ラッセ・トゥーンクヴィスト(なんて覚えにくい名前!)、本当に音が豊か。やわらかいし優しいが、弱くない。とてもふくよかで、だけど愚鈍という感じはしない。半熟卵ぐらいの世界で活躍するフィリップ・マーロウみたいだ。
あぁ、これも分かりにくいな。
ま、なにはともあれ、
え? こんなスゴいひと、いたの?
という感じ。
別に新人さんというわけではない。
大ベテランだ。
いっとき、日本でも売れていた時期がある。
「スウィート・ジャズ・トリオ」。
いったい誰がそんな名前をつけたのか、そんな名前じゃ、いくら軟派なジャズファンの私でも買いはしない。
で、まったく彼の存在を知らなかった。
不幸なことである。
今回は、彼の相方となったヤン・ラングレンを知っていたので購入に至った。ラングレンに感謝である。思えば、彼も若いころは「ピアノの貴公子」なんて呼ばれてコアなジャズファンからは見向きもされない、なんていう不遇を囲っていたが、今ではすっかり実力者として認知された。
やれやれ、日本のプロモーションを担当している方は、いったいどこを見て売り出そうとしているのか分からない。困ったもんだ。
そんなこんなで、発売からずいぶんと時間が経ってしまったが、無事にこのアルバムと出逢うことができた。この幸運を素直に喜びたいと思う。