高北謙一郎の「物語の種」

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グリーンブック

昨夜、さいたま新都心の映画館にて「グリーンブック」を観た。

 

つい最近アカデミー賞の作品賞を受賞したばかりの映画だ。

 

もともと他の映画を観に行った際、予告編を観て面白そうだなと思っていた作品でもある。期待はそれなりにあった。

 

 

大きな賞を取ったことで注目度も高いだろうと早々に席を予約して出向いたのだが、そこはさいたまの映画館、今は「翔んで埼玉」が席巻中である。けっこうゆとりある空間で鑑賞することができた。

 

そもそもグリーンブックとは、人種差別が根強く存在した時代に作られた、黒人向けの旅行ガイドブックみたいなモノだ。

創刊者のヴィクター・H・グリーン氏の名前が由来となったらしいが、白人だの黒人だのいってる時にミドリとはコレいかに? みたいなネーミングで紛らわしい。

まぁ、そこまで映画の中で重要なファクターになるわけでもないので、何となく知っておいた方がいいのかな、という程度。

 

 

で、映画のハナシ。

 

黒人の天才ピアニストと白人の粗野な運転手の交流。現在よりも人種差別の激しい時代の、実話をもとにした感動の物語。

 

まぁ、アメリカ人の好きそうな映画だよな。と、アメリカ人を差別してみた。

 

ホント、なんだって差別なんてもんがいまだに存在するのかよく分からないのだが、それは日本という極めて他人種の少ない島国で育ったが故の感覚なんだろう。とも思っている。

実際もしも自分がその場にいたら、そして自分が差別を受ける側ではなく、差別をする側の人間だったなら、それを恥ずべきことと考えられたかどうか、はなはだ自信がない。自分が誇り高き人間であることを祈るばかりである。

 

…なんてことを考えさせられる映画ではあるのだが、ピアニストと運転手、そのふたりのやり取りがコミカルで、重苦しい空気はほとんど感じない。

 

物語そのものも、思いのほか淡々と進んでいく。すっとばすところはすっとばすものの、とても丁寧に作っていることが伝わって好印象。映画の製作にかかわった方々が、主人公のふたりに対してキチンと敬意を抱いていることが感じられる。

もっと大袈裟に泣かせにくるかと思ったのだが、どちらかといえばじんわりとイイ話、といった感じだ。アメリカ人、思ったより繊細じゃねぇか。と、アメリカ人を差別してみた。いい意味で。

 

 

あまり本編について書いてしまうのはネタバレになるので遠慮するが、ひとつだけ言っておく。

 

 

この映画、観終わったら必ずやフライドチキンが食べたくなる。あるいは映画を観る前に売店で買い込んでいくのもアリかもしれない。映画が楽しくなることウケアイだ。