切なさの極致
先日デュオ編成のアルバムをご紹介した後、ふと気になったことがある。
自分はいったい、どれほどのデュオアルバムを持っているのだろうか? と。
CDラックを漁ってみた。
想像以上に、大量にあった。数えるのがめんどうになるぐらいあった。
そもそも全体でいえば、所有CDは1000枚を越える。デュオに限定したとしても、やはりそれなりの数にはなるらしい。
ときどき思うのだが、このCDたちを買ってなかったら、ワタシはベンツに乗れたんじゃないだろうか?
まぁ乗らないけど。
それはともかくとして。
日本のジャズファンはピアノトリオの編成を最も愛している、とはよく言われていることだ。分からなくもない。
しかし私は、どうやらデュオ好きらしい。
実際はこれに負けないぐらいソロピアノのアルバムもあるのだが、それはまたそのうちに。
ということで、これからたまに、気が向いたら自分のお勧めしたいデュオアルバムでもご紹介していこうと思う。
で、 ヒューストン・パーソンとビル・チャーラップ。今回はサックスとピアノのデュオアルバムだ。
ヒューストン・パーソン(アルバムジャケット写真・左)はとてもムーディーな音を出すサックス奏者だが、彼が前面に出過ぎるとじゃっかんイージー・リスニングっぽくなる傾向がある。と思っている。
たぶん、音が心地よすぎるっていうのもあるのかもしれないが、あまりセッションとしてのアドリブやソロの応酬みたいなものに、彼自身が重きを置いていないのかもしれない。
一方、ピアノのビル・チャーラップは日本でも大人気のピアニスト。かくいう私も大好きなピアニストのひとりである。
オーソドックスっていっちまえばそれまでって感じのピアノだけど、そんなピアニストはゴマンといるって中で、なにかしらの特別感を抱かせるのはある意味とんでもなくスゴいことかもしれない。
サテ、そんな2人のアルバム。
1曲目からスバラシイ。
最初、ピアノだけの演奏でスタート。
もうね、これだけで雰囲気バツグン。すぐにアルバムの世界に引き込まれる。
ところがそれが、思いのほか長い。
あれ? デュオアルバムなのに1曲目からソロピアノ?
なんて思ったりする。
しかし、ぴったり2分。
ふらりと、サックスが登場する。
「you taught my heart to sing」
いいね、これだけで「名盤みっけ!」って感じだ。
その後も3曲目、5曲目…と、1曲置きにバラードが入ってくるのだが、それがイチイチいい感じ。ちょっとその配分に安直さを感じ始めた7曲目が終わったとき、まさかのアルバムハイライト、8曲目のバラードが訪れる。
コヤツがね、スゴいんだ。
視聴していただければ瞭然だが、
ホント身悶えするようなサックス!
私にいたっては、もはや条件反射的に喉もとに熱いモノがこみあげてくる始末。
夜、ひとりでお酒なんて呑んでた日には、まちがいなく泣くと思う。
みなさんも周りにヒトがいないことを確認してから聴いた方がいい。
たぶん、涙腺崩壊するから。
切なさの極致。
泣きのバラード、といえば私にとってはこれしかない。
というかiTunes、よくこんな曲入ってるね。
いやぁ、改めて聴いたけどやっぱり泣く。
キケンな曲である。
と、まだ2曲しか言及していないが、ぜんぶ話していたらキリがない。
バラードばかりをほめているが、アップテンポだって悪くない。
お勧めのアルバムとしてご紹介しておく。