ネコヅメのよる
今夜はネコヅメのよるである。
だいぶシュッとしている。
これ以上いうとネタバレになる。
ネタ、簡単にバレすぎなんじゃないだろうか?
とは思うものの、いちおう物語のオチとして設定されているので黙っておく。
とはいえこの絵本の魅力は、たぶんそこではない。
この、ふてぶてしいまでの顔で描かれた表紙のネコこそが、最初のインパクトとともに私を衝動買いにまで惹きつけた。
私が絵本を買うこと自体がそうとう珍しい。
これまで何冊の本を読破したかはしらないが、少なくも3000冊までは数えていた。しかし、そのなかで絵本を読んだ記憶はない。それだけ珍しいことなのだ。
ゆえにこのネコの破壊力たるや、生半可なモノではない。
正直、あまり奥さんには評判ではない。
だからヤツが我が家で表舞台に躍り出ることはない。
だが、ときどき私はヤツを引っ張り出して、その顔を眺める。
眺めて、「ワルそうな顔」といって、ニヤニヤとほくそ笑む。
繰り返していると、だんだん自分の表情がヤツに似てくるような気がしてくる。
繰り返しているうちに、「お主もワルよのう」「イエイエ、お代官さまこそ」なんていう共犯意識すら芽生えてくるのだ。
今夜はネコヅメのよるである。
私は本棚から絵本を引っ張りだして、山吹色の菓子折りでも置いて酒を酌み交わしたい。実際はまだ体調万全じゃないんで不可能だが。
と、これだとあまりにもアッサリしすぎだな。
まぁ、夕方に投稿したばっかりだし、オマケみたいなもんだから別にいいんだけど、
もう少しだけ、ハナシを引っ張ろう。
私はネコ好きだ。
ネコの気ままさと怠惰さが好きだ。
狩りをしている姿は勇ましすぎて遠慮したいが、ぐでんと寝転がっている姿は微笑ましくていい。
そういえばまだ写真を始めたばかりの頃、中野にある少し広めな公園でスナップを撮りに行った。園内をふらふら歩いていると、立ち入り禁止の看板の前に、ゆらりと立ちはだかったネコがいた。私がカメラを構えると、スッと目を細め、こちらを見据える。おそらく私が一眼レフで初めて撮ったネコ写真だが、いまにして思えば先ほどの絵本の表紙に描かれたネコと、少し表情が似ている気がする。
あ、そのときの写真?
もちろん撮ったよ。
そしてさっき、データを見つけ出した。
これ!
傑作(笑)。