高北謙一郎の「物語の種」

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著作権

先日のニュースで、ジャスラックの職員がとある音楽スクールに生徒として入会し、裁判の場に証人として出廷した、との記事を見た。

 

ジャスラック日本音楽著作権協会

 

 

ジャスラック著作権うんぬんの問題は以前から色々と巷で議論されているようだが、今回のように密偵じみた策略を講じてくること自体、彼らに「自分たちの徴収方法は誰からも納得されていない」という自覚があることの表れであり、そのへんのところをまず、キチンと解消すべきではないのだろうか。

 

 

よくわかる音楽著作権ビジネス 基礎編 5th Edition

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…なんて、ちょいと今日は真面目な感じで始めちまったが、この問題、私にとってはわりと身近な話なので、どうにも気になるのだ。

 

今回の記事によると、ジャスラックの職員は、音楽スクールに「主婦」として入会し、およそ2年間、ヴァイオリンの上級クラスでのレッスンを受講していたそうだ。そのレッスンの中で、著作権問題に引っ掛かる曲の演奏があった、とのことを証言するらしい。

 

 

以前からこちらのblogではご紹介しているが、私の奥さまも、音楽スクールでピアノの講師としてお仕事をしている。

 

もし、自分の教えていた生徒がスパイ目的で習っていたなんて知ったら、とてもショックだと思う。

日ごろ奥さまとの会話の中で、生徒さんたちのことはたびたび話題となる。「○○さんのこのへんが上手くできればスゴく良くなるのに」とか、「○○さんはいつも頑張ってるんだよ」なんてことが日常的に話題になっているのだ。それだけ奥さまは生徒さんひとりひとりのことを大事にしているし、どうすれば上達するか、どう伝えれば分かりやすいのか、つねに考えている。

 

それを知っている立場からすると、今回の件は明らかに裏切り行為であり、恥ずべきことだと思うわけだ。

 

密偵として入り込んでいたかたとしては、自分は自分の仕事をしただけ、との考えなのかもしれないが、そもそも仕事なんてもので人間としての尊厳を失うべきではない。

 

よくわかる音楽著作権ビジネス 実践編 5th Edition

よくわかる音楽著作権ビジネス 実践編 5th Edition

 

 

なぜにジャスラックがこれほど世間的に叩かれているのかというと、思うに、

「誰のために著作権を管理しているのかが分からない」

という点に尽きるのではないだろうか。

 

著作権にかんしては、管理会社よりもまず、著作権所有者の意見が優先されるべきだと思う。音楽スクールや喫茶店、barなどで使ってもらうことを問題と思っていない(あるいは大歓迎という)所有者の楽曲なら、フツーに使用は認めるべきだし、逆に、それに対しても厳格な著作権を求める所有者の楽曲には、キチンと相応の使用料を課すべきだ。仲介に入っているだけの協会が強硬な手段に出るからややこしくなるのだし、角がたつのだ。

 

そのあたり、最初の契約時に音楽家と取り決めを結ぶことが出来ればいいのに、とは思う。

 

そうじゃないと、そのうち町で流れる音楽はすべて著作権の効力が切れた古い楽曲ばかりになってしまうかもしれない。実際、ここ数年やたらと居酒屋で古いジャズが流れるようになったのは、そのあたりも影響しているのではないかと、密かに勘ぐっている。

 

 

 

すでに存命でないかたの楽曲も含めて、そろそろ仕組みそのものを考え直す時期にきているのではないかと、そんなことを考えさせられたニュースであった。

 

うん、真面目だな、今日は。

 

ちょっと疲れた…。

 

皆さまも、お疲れさまです。