売れる小説
売れる小説を書こう!
と、ここのところ企んでいる。
基本的に私の専門は幻想文学と呼ばれるもの。夢(希望)のないファンタジー、あるいは夢(睡眠時に見る方)の描写みたいな物語。
まぁ売れなそうだよね。
世の中のミステリー系の作家の半分は、本当は幻想文学を書きたいと思っている。が、売れないので生活のためにミステリーを書いている。なんてハナシをたまに耳にする。
幻聴かもしれないけど。
私も同じだ。幻想文学では売れない。
まず、売れる必要がある。
では、どうやったら売れるのか?
恋愛モノを書けばいいのだ。
そして、必ず彼女か彼を物語の最後で殺してしまえばいい。病気でもいい。事故でもいい。とにかく殺すこと。
たったそれだけだ。それだけのことで、私は巨万の富を得るのだ。
書こう!
と…。
しかし不思議だ。
世の中に、この手の物語は呆れるぐらいタクサンある。なのに売れる。
何故だ?
そして、書くひとがあとを絶たないことも不思議だ。
これほどありふれていて、めずらしくもなんともなくて、どちらかと言えば「またかよ?」とか思ってしまうぐらいに出回っている物語を、手を変え品を変え臆面もなく「書いてみよう」と思う理由は?
やはり、売れるのだと思う。
いったい、競争率はいかほどのモノなんだろう?
売れると分かっている小説を書く。
この、妙な葛藤…。
たぶん、それに打ち勝ったニンゲンだけが、売れる小説を書けるのだ。
案外、競争率は低いのか?
漫画と同じ。主要メンバーは5人。楽天的でバカだけど秘めた才能を持った主人公と、すでに天才と呼ばれるクールな2番手キャラ、ふたりの間で揺れる女の子、主人公の友人役でオチャラケ担当のオマケを2名…たまにその一方は頼りになる先輩だったりもする…が、これで万全だ。あとはバリエーション。
そう、世の中の売れてる漫画のほとんどがコレ。世の中には間違いなく「売れる」作品というモノがある。
せっかくだから書いてみようかな。
最後まで強い意志が必要だな。
まず、恥ずかしくなってしまいそう。
色んな意味で。
しかし、ホントに売れたらウケるな。
…なんてことをアレコレ考えつつ、やっぱり、「売れる」と思うことこそが幻想なのかもしれない。なんてことも考えたりもする。
たぶん、売れる小説を書いている小説家についての幻想文学を、私は書くのだろう。
あぁ、まったく売れなそうだ!