骨折
昨日、利き手の話と子どものころの話をして思い出した。
中学校にあがったばかりのころ、左手を骨折した。
当時はまだ爽やかなスポーツマンだった私は、小学校時代にお世話になっていたサッカークラブの朝練におつきあいしていたのだが、そこで思い切り、ポキッと。
ちょっとしたミニゲームだった。後輩たちと空中戦でボールを争った際、着地前にバランスを崩した。このままだと頭から地面に…とっさに頭をかばうように左手を…
で、折れた。
手首と肘の間、シンプルといえばばシンプルだが、完全に折れた。
いやねぇ、あれはあせった。自分の左手があり得ない向きに曲がってるんだから。
コーチの車に乗って、急いで病院を目指す。
しかしここからが壮絶だった。
田舎だったせいか大きな病院なんてものはなかった。ちっぽけな外科医院に向かうよりなかった。なかったのだが…
そこがまだ、早朝ということで閉まっていたのだ。
またもやあせった。あせったが、
やはり待つよりない。
で、待つこと1時間。
最初のうちは麻痺した状態で感覚のなかった左手が、段々と痛み始めていた。子どものころなんて怪我ばっかりで、ちょっとの痛みなんてヘッチャラな私でさえ、あまりの痛みに悶絶するほどだった。
と、そこにようやく外科医登場だ。
開院時間すぎてんじゃね? 時間、引っ張りすぎじゃね? なんて当時の私に言えるはずもなく(今も言えないが)、おとなしく中へ。
軽く症状を診て、レントゲンを撮って、
「じゃあ引っ張って戻すからね」と…。
いやいや、ソレ、あり得ないだろう?
もう時間じゅうぶんに引っ張ったんだから、手まで引っ張っちゃダメだろう?
いま、めっちゃ痛いんだけど。
なんて当時の私に言えるはずもなく(今も言えないが)、というかすでにそんな余裕もなく脂汗だらだらの私は、抵抗することもできないままに診察室のベッドに横たえられた。
で、次の瞬間…
医者は私の左手をつかむと、
猛然と引っ張った!
私の脇腹の上あたりに自分の左足をあてがい、思い切り引っ張ったのだ!
絶叫した。
すでに痛みのピークだと思っていた自分が甘かったのか、痛みには限界などなかったのか、はたまた限界など余裕で越えてやるぜ、的な勇猛果敢な積極性を当時の私が持ち合わせていたのか、とにかく、かつて経験したことのない痛みに私は泣き叫んだ。泣き叫んで…
気を失った。
人生初にして、今のところ最後の気絶体験だ。
時間としては短かったとは思う。私が気を失っていたことに気づいた人間もいなかった。しかし、紛れもなく私は気絶していた。
意識を取り戻した時には、左手はもとに戻っていた。
まぁ、姿カタチが、というだけではあるが。
いやはや、あれは痛かったなぁ。
そういえば、当時はすでに左利きだったが、骨折が治ってからもやっぱり左利きのままだった(前日ブログ「左手に告げるなかれ。」参照)。
ありとあらゆる人から「左手でよかったねぇ」なんて言われながらも、私の左手は「利き手」というポジションを右手にゆずり渡すことはなかった。
もちろん、突然変異で絵が上手くなる、なんてこともなかったけど。
なにはともあれ、今日は何を言いたかったかっていうと、
皆さま骨は大切にね!
って、なんだこの無理やりな終わらせ方?