高北謙一郎の「物語の種」

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急病人

先日、電車に乗っていたら、同じ車両に乗り合わせた男性が急に意識を失ったらしく、倒れてしまった。

 

私は少し離れた座席に座っていたので傍観するよりなかったが、近くに居た乗客の何人かが救護にあたり、非常ボタンを押し、すぐに駅員さんを呼んだ。さらに「どなたか看護師のかた、お医者さま、いらっしゃいませんか?」との呼び掛けも。

ぐうぜんその場に居合わせただけのようだが、その迅速な対応に感銘を受けた。

 

間もなく別の車両から看護師の女性も駆けつけ、AEDを使っての救急処置が始まった。倒れたかたは脈もなく、すぐに人工呼吸や心臓マッサージが始まる。緊迫した時間。

 

その後、救急車も到着し、男性は運ばれて行った。彼がその後にどうなったかは分からないが、やはり命にかかわるお仕事をしているかたたちは大変だなぁと、とても感心してまった。

 

 

このような場面で動けるひとって、素直にスゴいと思う。基本的にこのような場面で役に立ちそうもないからな、私は。

 

 

むかしむかしになるが、友人と夜道を歩いていた時、道ばたの暗がりに倒れているお婆さんがいた。あまりの非日常、非現実的な光景に、私はビビりまくった。何故だか、映画の「バタリアン(古い!)」を思い出し、助け起こそうとした瞬間にアタマに食らいつかれ、脳ミソを食べられてしまう場面がまざまざと浮かんだ。

ヤバイよ、襲いかかってくるかもよ!

とかなんとか、友人に訴える私。そんな私を尻目に、近所の家からちょうど出てきた男性をつかまえて救急車を呼んでもらった友人…けっきょくただの酔っぱらいのお婆さんが酔っぱらいすぎて倒れていただけだったのだが、自分のあまりの使えなさに呆れてしまった。

 

 

 

そういえば伊坂幸太郎さんの「フィッシュストーリー」の中に、『正義の味方』になるために育てられた男が、船のシージャックの現場に遭遇し、犯行グループを倒していく物語があった。

 

フィッシュストーリー (新潮文庫)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

 

 

 

もしもの時のために訓練を積むことは、ムダではないのかもしれない。

今回の件を目の当たりにし、少しそう思った。

そしてこの作品を読んで、誰かひとりでも『正義の味方』を目指すひとが現れることを願う。