エル・カミーノ
もらいモノついでといっては失礼だが、昨日の珈琲に引き続きのもらいモノのお話。
先日(けっこう前だが)、知り合いのオジサマよりワインをいただいた。
いつもにこやかな笑みとともに声をかけてくださるオジサマ。
そんなオジサマが、ふと思い出したように言った。
「そういや、結婚祝いってなんもあげとらんかったね。ホイ、これ」
手渡されたのが、今回ご紹介のエル・カミーノ。スペインの赤ワインであった。
さっそく酒の肴としてチーズとサラミ、生ハム…とまぁ、オツマミのオンパレード状態で、イザ。
…呑みやすい。
フルボディとあるが、
決して重すぎるということはない。
そして、ずいぶんと澄んだ印象。
なんだろう? 赤ワインってもう少しトロっていうか、ドロっていうか、澱みたいなものが混じっているように感じるんだけど、今回のコチラ、水のようにクリアだ。
ますます呑みやすい。
気がつけば、奥さんと2人であっという間にボトルを空けてしまった。
たぶん重たい肉料理とかではなく、手軽なオツマミだったのもよかったのかもしれない。そんなカジュアルな気分で呑むには最適のワインであった。
ちなみに今回のワインはスペイン産だが、なにやらボトルの裏に貼ってあるラベルに、ひどく分かりにくい説明が書かれていた。
かいつまんで説明すると、
ガリシア州の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼は1000年以上の歴史を持つ、とのこと。
で、その巡礼路(エル・カミーノ)に沿って多くのワインがつくられている。
それらを巡礼路を辿るように楽しんでみるのも良いのではないか。
とかなんとか、そんなハナシだった。
そういえば以前、私の親友宅に数人で集まりワインの飲み会をやった。
そのときは彼がすべてのワインを用意してくれたのだが、ひとつの国のワインに絞って、その国の北から南へと旅するようにワインを揃えてくれた。
まさに、エル・カミーノが提唱する楽しみ方であった。まぁ彼が用意してくれたのはイタリア産のワインではあったのだが…。
それはそうと、いつもながら唐突なのだが、ふと「巡礼」という言葉を切っ掛けに、
ジェフリー・チョーサーの「カンタベリー物語」を思い出してしまった。
偶然カンタベリーまでの巡礼の同行者となった29人もの登場人物たち。そのひとりひとりが順番に物語を語っていく、というお話。たいそう堅苦しいモノから下世話な小話まで、登場人物たちの職業や地位によって物語のタイプも変わってくる。
まぁ得てしてこういう場合、農民たちのたわいのない笑い話の方が高僧の説教めいた語りよりも面白いのだが、もしかするとそれが私自身の出自にかかわる問題なのかもしれないので、これ以上は深く追求しないことにする。
で、「カンタベリー物語」とくれば、
次はこれだ。
スティングの
「テン・サマナーズ・テイルズ」
はい、スティング大好きです。
音楽もカッコイイが、その歌詞がね、他のロックミュージシャンとはまるで違う。
ふだん洋楽関連のアルバムを買うときは輸入盤でも別に気にしていないのだが、スティングにかんしては、ぜったい国内盤の方がいい。歌詞の日本語約が載っているからだ。言葉遊びの面白さ、こだわりが見えて、ホント、「なんて頭のいいミュージシャンなの?」と、いつも思う。
そもそも私がチョーサーの「カンタベリー物語」を知ったのは、こちらのアルバムのライナーノーツに書かれていたからだ。
アルバム自体も、バラエティに富んだ音楽性と物語性を発揮した傑作だと思う。
そういえば、アルバムの中の1曲、「シェイプ・オブ・マイ・ハート」は、映画「レオン」のエンディング曲として、私の中では特に印象に残っている。
主人公の殺し屋、レオンは仕事柄、定住場所を持たない。ある意味では、街から街へと巡礼を続けているような……
はい、ワインから始まった巡礼の物語。
書物、音楽、映画へと、つれづれなるままに書き進めてみた。どれもけっこう古い作品ばかり。熟成も進んでいるものと思う。
こうやって芋づる式というか、連想に連想を重ねて書き進めていくことが、私のブログには多い。そう、まるで巡礼するかのように。
まぁどこを目指していたのかは、まったく分からないが…。
最後まで読んでくださった方、
お疲れ様でした。