ショートショートロードムービー的物語
突然だが、最近ネットニュースの中に紛れていた記事が、個人的に気に入っている。
はい、今日はスタジオとは全然関係ないお話。
出世ナビとか、私には全然関係ないお話。とも言えるけど。
元タクシー運転手にして鉛筆画家、そして穏やかな語り口が心地よいリズムを生み出す文筆家、という異色のオジイサマの特集記事だ。
彼の鉛筆による1枚の絵と、タクシードライバーだったころのちょっとしたエピソードが綴られたこの記事に、何だかミョーに惹かれる。
なんだろう、最初に1枚の絵が載っているからか、その後に続く文章の視覚的イメージが広がりやすい。まるで、自分がタクシーの運転席に座って彼の語るエピソードを追体験しているようなのだ。目的地のないショートショートロードムービーといった感じ。
古めかしくどこか畏まった語り口も印象的だ。カズオ・イシグロ氏の『日の名残り』とか、ちょっと思い出す。もちろん、あそこまでの傑作とは言わないけど。
- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 文庫
- 購入: 17人 クリック: 190回
- この商品を含むブログ (293件) を見る
でも、長篇だと少しくたびれてしまいそうな堅苦しさも、短い物語だと心地よく感じる。都内で飲んだ帰りとか、ワンメーターぐらい乗ってみようかな。そんな気にさせる記事であった。
それにしても、肝腎のオジイサマのお名前が思い出せない。まぁ、そんな匿名性もタクシー運転手っぽくて良い。